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2014年04月14日(Mon): 0.SPROUT概要

Category: SPROUT Master
Time: 21:52
Author: sprout
【SPROUT打ち上げまで40日です!】
皆様,こんにちは.
今年は衛星工房に何人入ってくれるか期待と不安が入り混じる修士2年の三田です.
すっかり春らしい温かい季節となりました.といってる間に最近は桜の散るのを見て寂しい感じも致します...

あと1ヶ月+αで打ち上げということで,これから連日皆様にSPROUTを知ってもらい,打ち上げの時にはSPROUTマスターになってもらおうと思い更新していきたいと思います.
今日は簡単にですが,SPROUTの概要と思い出を三田が語りたいと思います.


SPace Research On Unique Technology,通称SPROUTは一辺20[cm],重量はおおよそ6.7[kg]の立方体です.SPROUTには「芽を出す」,「急速に成長する」といった意味があります.SEEDSで蒔いた種がSPROUTで芽を出す.ロマンチックですね.そんなSPROUTの内部のシステムはバス部と呼ばれる電源や通信,データ処理を行うシステムとミッション部と呼ばれる姿勢決定・制御系や複合膜面展開系,アマチュア無線系に分かれています.各システムの説明はおいおい更新していきたいと思います.SPROUTのミッションは宇宙空間でインフレータブルチューブと膜面からなる複合膜面の展開をメインとしております.20[cm]の立方体から約1.5[m]の正三角形の膜面が産声をあげます.また,SPROUTでは日大のアマチュア無線技術向上のため,SPROUTを通じてアマチュア無線家の方と技術交流をすることで,私達の無線通信技術の訓練を行っていきたいと思っております.デジトーカやSSTV,そしてカメラのシャッター権解放を行っていきます.

複合膜面展開


また,SPROUTではロケットから分離される機構,通称N-PODを自作しております.SPROUTは,従来のCubeSat Projectでの標準規格である10[cm]立方ではなく,20[cm]であること,さらには自作することで衛星自体の設計要求を軽くすることを狙いとしています.N-PODは蓋が展開することで,収められていたバネによって飛び出す,いわゆるびっくり箱方式で宇宙空間に展開されます.そんなSPROUT,N-PODのフライトモデルが以下の写真です!!

SPROUT

N-POD


最後に閉じるのが近づいていくうちに「あとSPROUTに触れるのは何回なのかな...」とか考えたりして寂しい気持ちがありました.きっとSPROUTもそんな気持ちで駄々をこねていたと思います.子離れ出来ない親の気持ちはこんな感じなのかなと思った23歳の春でした.もうこの目で見ることのないSPROUTですが,宇宙から電波を届けてくれるよう祈る日々です.

明日はアマチュア無線ミッションについて修士2年上原が登場します!
SPROUT CAM班 Mita

Category: SPROUT Master
Time: 23:35
Author: sprout
【SPROUT打ち上げまで39日!】
みなさん,こんばんは!
修士2年の上原です.

あと1ヶ月+αで打ち上げということで,これから連日皆様にSPROUTを知ってもらい,打ち上げの時にはSPROUTマスターになってもらおうと思い更新していきたいと思います.
SPROUTマスターになろう!第二弾は,SPROUTのアマチュア無線ミッションについて説明いたします.


アマチュア無線ミッションは,アマチュア無線家による衛星運用を提供し,技術鍛錬の場として活用してもらい,私達自身もアマチュア無線家として自己訓練や通信及び技術的研究を行っていこう!というミッションとなります.なぜアマチュア無線ミッションを行うのかと言いますと,SPROUTは通信周波数帯にアマチュア無線帯を利用させていただいている「アマチュア衛星」として打ち上げられるためです.2008年の時に打ち上げたSEEDS-IIの時にも,SSTVやデジトーカといったものを搭載し,アマチュア衛星として多くの方に受信していただいてきました.その意思を継ぎ,SPROUTでもSSTV,デジトーカはもちろん,音声,文字デジピータ(後述しますが,語弊があり改名いたしました.)やマイクロフィルムメッセージを企画し,提供できる運用体制を整え,より多くのアマチュア無線家の方々や一般の方々にSPROUTの電波を交信,受信していただけるように尽力したいと思っています!それでは簡単ではありますが,SPROUTの各アマチュア無線ミッションをご紹介いたします!

【SSTV】(一般の方,アマチュア無線家向け)
打ち上げ前に予め保存した画像(14枚)や,カメラで撮影した地球画像をSSTV信号に変換して送信を行います.SSTVはFAXのような音声信号「ピロピロピロ~」という音がします.運用試験時に撮影したSSTV画像です.

【デジトーカ】(一般の方,アマチュア無線家向け)
打ち上げ前に,予めICに録音した音声を軌道上で再生・送信を行います.
ここで,ICに録音した音声のレコーディング風景を初公開!!
Mrs.aritaさんのレコーディング!津田沼のRBC様でレコーディングをさせていただきました.様々な機器
マンションの一室にこんなに素晴らしいレコーディングスタジオがあり,驚きでした!

【音声メッセージボックス】(アマチュア無線家向け)
音声をアップリンクし,録音した音声を軌道上で再生・送信を行います.
私たちは,当初「デジピータ」と呼んでいた機能ですが,アマチュア無線家の方にお聞きしたところ,中継器に近い印象を与えかねないとのアドバイスをいただけましたので,アップリンクしていただいた音声をメッセージボックスに登録し,それを軌道上で再生・送信を行うという意味合いの「音声メッセージボックス」としました.文字メッセージボックスに関しても同様に改名致しました.
イメージ図
【文字メッセージボックス】(アマチュア無線家向け)
文字パケットをアップリンクし,記録した文字パケットを軌道上から地上に送信を行います.

【マイクロフィルムメッセージ】(一般の方,アマチュア無線家向け)
皆さんからいただいた写真やはがき,メッセージをマイクロフィルム化してSPROUTとともに宇宙へ届けようという企画です.こちらはには121通ものメッセージをいただくことができました!ご応募いただいた皆さんのメッセージはこちらの特設サイトに公開しています.またブログにてマイクロフィルムが出来上がるまでを報告させていただきました.ぜひこちら【前編/後編】もご覧下さい.

上記の5つの機能や企画以外にもカメラ撮影関係のアマチュア無線ミッションも検討しています!そちらは明日詳しくお話したいと思います.

最近は全国の大学で作られた衛星が次々と開発されて宇宙へ打ち上げられているのですが,ほとんどの大学が通信周波数にアマチュア無線帯を利用しています.それは,

●アマチュア無線帯の通信機器は比較的安価で地上局アンテナ等も設置が容易で安価であること.
●ネットや文献でアマチュア衛星の運用のノウハウが公開されていること.
●アマチュア無線やアマチュア衛星通信関連のイベントに参加すると多くの無線技術を持った方と話せ,貴重な意見・知識を得られること.
●実際に衛星を打上げた際,衛星の特定に国内外にいるたくさんのアマチュア無線家の方々の協力を得られること.

などと大学側にとてもメリットがあるためです.ですが,本来アマチュア無線帯を利用するからには,国際法や日本の電波法で定められている通り,私たちも含め多くのアマチュア無線家の人達に無線技術の鍛錬の場として利用していただき,楽しんでいただける場の1つとなる様に考えるべきであります.これまでに日本大学でも試行錯誤し,衛星の開発を行ってきていますが,それでも十分ではないと考えています.

今後,打ち上げ直後には多くのアマチュア無線家の方に受信協力をお願いする形となると思いますが,多くの方がSPROUTを通じて宇宙開発や無線技術により関心を持っていただけるようにプロジェクトチーム一丸となって取り組んでいこうと思っております!

実際の運用に関しても後日,お話させていただく予定です.今のところではありますが,
・アマチュア無線ミッションのダウンリンク周波数は437.600MHzとなっております.
・プロトコルに関してはモールス符号,AX.25,音声信号等を採用しております.

詳細に関してはホームページで順次公開をしていく予定ですので,今後ともどうぞよろしくお願い致します.

では,明日はカメラ撮影に関して三田から紹介させていただきたいと思います!

Category: SPROUT Master
Time: 22:33
Author: sprout
【SPROUT打ち上げまで38日です!】
皆様,こんにちは.
一昨日に引き続き登場の修士2年の三田です.

あと1ヶ月+αで打ち上げということで,これから連日皆様にSPROUTを知ってもらい,打ち上げの時にはSPROUTマスターになってもらおうと思い更新していきたいと思います.
SPROUTマスターになろう!第三弾は,昨日に引き続きましてSPROUTのアマチュア無線ミッションについて説明いたします.
本日はSPROUTに搭載されているカメラによるアマチュア無線ミッションを説明いたします.

SPROUTに搭載されているカメラによって撮影された画像は640×480のサイズで撮影されます.撮影された画像は640×480のフルサイズ,サムネイル化(320×240,160×120,128×96…),Scotti1形式のSSTVの3種類の方式でダウンリンクを行います.
また,SPROUTのアウトリーチミッションでは2種類の撮影モードによって地球の撮影を行っていきます.

① 時間指定撮影モード
アップリンクによって1秒刻みで最大33秒の撮影間隔で最大6枚まで撮影出来るモード

② ADCシャッターモード
写真の1枚目を太陽センサからカメラが地球を向いたと判断したらシャッターを切り,それ以降を1秒刻みで最大33秒の撮影間隔で最大6枚まで撮影出来るモード.一定時間経過後,タイムアウトしてカメラが自動的に撮影

また,SPROUTではSSTVの画像上部の320×16[pixel]を用いてカラーバーによるコールサインとADCシャッターの成功,SSTVの何枚目をダウンリンクしているかを判断するシステムにしております.昨日のSSTVの画像を引用させていただきますと以下のような判別が出来ます!

SSTVのイメージ


ADCシャッター判別が
赤:通常撮影モード(または予め保存した画像)
緑:ADCシャッターモードのタイムアウト
青:ADCシャッターモード成功

枚数判別
赤:1枚目
緑:2枚目
青:3枚目

といった感じで合計9パターンのカメラで撮影されたSSTV画像を楽しむことが出来ます!衛星のカメラのシャッターを自分できって,ダウンリンクしたらさぞ楽しいでしょう!
カメラ班として是非この手で地球を撮影したいと願う今日この頃です.


明日はアマチュアミッションの最後,運用編を上原が紹介していきます!
SPROUT ARS班 Mita


Category: SPROUT Master
Time: 22:55
Author: sprout
【SPROUT打ち上げまで37日です!】
皆様,こんばんは.
一昨日に引き続き登場の修士2年の上原です.

あと1ヶ月+αで打ち上げということで,これから連日皆様にSPROUTを知ってもらい,打ち上げの時にはSPROUTマスターになってもらおうと思い更新していきたいと思います.
SPROUTマスターになろう!第四弾は,昨日に引き続きましてSPROUTのアマチュア無線ミッションについて説明いたします.本日は実際の運用についてお話できればと思います.

昨日から説明させていただいていたアマチュア無線ミッションですが,SPROUTの工学ミッションと並行して順次進めていければ思っています.平日は,主に工学ミッションデータのダウンリンクや各機能確認をさせていただき,休日(土日)は,アマチュア無線ミッションを受信,交信していただこうと考えております.ただ平日休日限らず,CW/FM運用でテレメトリデータのダウンリンクを行いますので,いつでも受信は行っていただけるようになると思います.

以下に各アマチュア無線ミッションの運用方法を簡単に書きたいと思います.

まずは,SPROUTの電波(宇宙からの電波)を受信するためにはいくつかの事柄を知ってもらい,準備してもらう必要があります.知らなければいけないことは,SPROUTの発信している周波数と電波形式,SPROUTの運用モードとそのフォーマット(文法)です.準備しなければならないことは,受信,交信ができる無線設備(解析ソフトウェアも含む)です.またアップリンクを行うにはアマチュア無線資格が必要になります.それを踏まえての難易度も表してみました.

【SSTV】難易度:★★
SSTV運用は土日に実施することを検討しています.MMSV等のフリーソフトを活用してもらい,受信していただくことになると思います.ロケットから宇宙に放出されてすぐに,地球撮影をしてSSTVでダウンリンクをしようと考えております.そのため,これが打ち上げ後最初のアマチュア無線運用となります.SPROUTのSSTV送信では,このように,搭載カメラで撮影した写真を送るのと,予めSPROUTのICに保存されている14枚の画像を送るのの2種類の画像送信を考えています.そして,特に,後者の14枚の画像をコンプリートした人には,何か特典を!と検討しています.
■ダウンリンク周波数:437.600MHz
■ダウンリンク電波形式:F3F
■送信出力:450mW
■無線設備:ハンディ無線機,手作りアンテナで受信はできます.フリーソフトも活用するため,PCは必要です.

【デジトーカ】難易度:★
デジトーカ運用も土日に実施することを検討しています.デジトーカの音声信号は無線機を準備してもらい,アンテナで受信してもらうことになります.
■ダウンリンク周波数:437.600MHz
■ダウンリンク電波形式:F3E
■送信出力:450mW
■無線設備:ハンディ無線機,手作りアンテナで受信はできます.

【音声・文字メッセージボックス】難易度:★★★
音声・文字メッセージボックス運用も土日に実施することを検討していますが,この機能は無線家の方にアップリンクをしてもらうこととなるため,日本大学ではアマチュア無線資格と音声内容の確認をさせていただいた後,運用を実施していただこうと考えています.
■アップリンク周波数:VHF帯
■アップリンク電波形式:F2D
■ダウンリンク周波数:437.600MHz
■ダウンリンク電波形式:F3E(音声),F2D(文字)
■送信出力:450mW
■無線設備:送受信できる無線機,アンテナが必要です.専用のソフトウェアを配布する予定ですので,PCは必要です.

【カメラ撮影権の開放】難易度:★★★
こちらもメッセージボックス同様に無線資格と音声内容の確認をさせていただいた後,運用を実施していただこうと考えています.カメラのシャッターを自分できって,ダウンリンクができたら興奮すること間違いなしです!SSTVでダウンリンクもできます.
■アップリンク周波数:VHF帯
■アップリンク電波形式:F2D
■ダウンリンク周波数:437.600MHz
■ダウンリンク電波形式:F3F,F2D
■送信出力:450mW
■無線設備:送受信できる無線機,アンテナが必要です.専用のソフトウェアを配布する予定ですので,PCは必要です.

音声・文字メッセージボックスやカメラ撮影権の開放はあくまでも「衛星を制御するコマンド」には当たらないため,一般のアマチュア無線家の方にも利用していただくことが可能となっております.

ホームページでは,Operationページより打ち上げ情報をはじめ,各運用方法,スケジュール,運用ソフトウェア,テレメトリフォーマット,受信報告ページを順次公開する予定です.
SPROUTのホームページ


人工衛星の電波を受信しているアマチュア無線家で構成された日本アマチュア無線協会(JAMSAT)という団体があり,人工衛星の電波を受信するために必要な設備,知識などをホームページにて分かりやすく解説しています.ぜひJAMSATホームページも一緒にご覧下さい.入門者向けページもあります!そこのあなたも今日から衛星受信を趣味にしませんか?

ということで,3日間に及んだアマチュア無線ミッションの紹介ですが,次回からは工学ミッションのメインミッションである膜展開ミッションについて修士1年の丸木から説明致します.

Category: SPROUT Master
Time: 23:49
Author: sprout
【SPROUT打ち上げまで36日です!】

皆様,こんにちは.
修士1年の丸木です.

SPROUTマスターになろう!本日から三日間はメインミッションである膜展開についてお送りします.
今日はまず,膜展開ミッションの概要についてお伝えします.

人工衛星において膜展開というと,遠心力を利用したスピン展開や支持部材を伸展させて膜を展開する方法がありますが,SPROUTの場合は後者になります.
SPROUTでいう膜を広げるための支持部材に当たるのがインフレータブルチューブです.

インフレータブル構造というは,ガスを注入することで膨らむ構造になります.なので,インフレータブルチューブはガスの注入により伸展し,膜を広げる役割を担ってくれます.
一般的にインフレータブル構造の利点は,複雑な展開機構が要らず,ガスを注入するというone-actionで展開が可能なことです.そのため,展開機構の開発が比較的簡単になるのと,展開に要する時間が短いのです.
また,衛星が大きくなっても,インフレータブル構造物の質量はあまり変わりません.そのため今後の宇宙開発において大型構造物への利用にも期待できます.


膜面



【ミッション】
膜展開に関するミッションは次の通りです.
なお,ミッションを行う予定である時期を記載しておりますが,運用の進め方によって変更になる可能性がありますので,ご了承ください.

1) 複合膜面構造物の展開実証(打ち上げから6か月後に達成予定)
まずは複合膜面の宇宙での展開実証そのものを成功させなければいけません.そういう意味を込めて,これをミニマムサクセスに位置付けています.

2) 複合膜面構造物の設計手法の実証(打ち上げから10か月後達成予定)
展開が成功したら,取得したデータを解析し,複合膜面構造物の設計手法について評価します.
また数値シミュレーションの結果と比較して,展開挙動のより詳しい考察と数値シミュレーション手法の向上を目指します.
ここまでで,フルサクセスとしています.

3) 複合膜面構造物による軌道降下率変化の予測(打ち上げから5年後)
自作の軌道シミュレータから予測した結果と実際の結果を照らし合わせて,予測精度の評価を行いシミュレーションの妥当性を示します.
これはエクストラサクセスに位置付けています.


【膜展開シーケンス】
膜面の展開シーケンスは一次展開と二次展開に分かれます.
一次展開では,収納機構から複合膜面が解放されます.きっちり折り畳まれているため,折り目の復元力によって少し展開します.
二次展開では,収納機構のフタが開いたことを感知して,チューブにガスが注入され,正三角形の形に広がります.


シーケンス





さて,ここから話題は変わって,本日行われた宮崎研究室のB4歓迎会についてお送りしたいと思います.
今年は去年と同様10人の4年生が研究室メンバーに加わりました.


懇親会前

懇親会前2

懇親会1

懇親会2

懇親会3



本日は残念ながら二人風邪でお休みでしたが,自己紹介を終え,なんとなく皆の人となりを把握することが出来ました.


集合写真


雨のため,建物の階段で写真を撮らせて頂きました.
一風変わった集合写真となりました.
今年も一年,楽しい研究室生活が送れたらなと思います.

明日はB2の福永より,膜展開のミッション評価についてお送りします.

Category: SPROUT Master
Time: 22:52
Author: sprout
【SPROUT打ち上げまで35日です!】

皆様,こんにちは.
学部2年の福永です.

SPROUTマスターになろう!昨日に引き続き三日間はメインミッションである膜展開についてお送りします. 2日目の今日は膜展開ミッションの評価についてお伝えします.
昨日伝えました通り,膜面展開ミッションについては複合膜面構造物の展開実証をすることにあります.

膜面


その評価はSPROUTに搭載された2台のカメラと圧力センサ,インフレータブルチューブに取り付けられたピエゾセンサによって評価します.SPROUTに搭載された2台のカメラによって連続的に14枚の写真撮影を行い,インフレータブルチューブ,そして膜面についている特徴点をステレオ視によって複合膜面の展開挙動を推定します.また,圧力センサの値とカメラから計測されたデータを合わせ,地上による実験と数値シュミレーションの精度を向上させることで今後の複合膜面構造物の設計の向上に寄与したいと考えています.さらに,ピエゾセンサの取得によって宇宙空間で折りたたまれたチューブの振動解析が行え,カメラ画像で取得されたデータと合わせることでより精度の良い計測データとなると考えています.

複合膜面


近年,運用を終えた衛星がその後も宇宙空間に残りデブリ(ゴミ)となる問題があります.そこでSPROUTではカメラデータから複合膜面構造物の展開挙動を推定するとともに,膜面の面積展開率を評価し,自作の軌道シュミレータで軌道降下率の予測を行います.SPROUTの膜面が100%展開すると軌道上では3.73年で大気圏に突入する予測となります.さらに面積展開率と軌道上滞在年数を事前に予測しておき,膜面展開後の軌道データから独自に開発した軌道シュミレータの評価を行っていきます.また,SPROUTではデブリ対策のため軌道上滞在年数が5年となるよう,膜面の展開率85%をミッションとしています.

軌道降下率


1年と短かったですが,私の携わった複合膜面構造物が宇宙で展開するのを心待ちにしています!
明日は膜面の展開制御について修士2年の三田が紹介します.

2014年04月20日(Sun): 2-3. 展開制御について

Category: SPROUT Master
Time: 17:10
Author: sprout
【SPROUT打ち上げまで34日です!】

皆様,こんにちは.
修士2年の三田です.

SPROUTマスターになろう!一昨日からの三日間はメインミッションである膜展開についてお送りします. 最終日の今日は膜展開ミッションの展開制御についてお伝えします.
一昨日から伝えました通り,膜面展開ミッションについては複合膜面構造物の展開実証をすることにあります.膜面の展開シーケンスは一次展開と二次展開があります.

シーケンス


一次展開は収納機構に折りたたまれたインフレータブルチューブと膜面の復元力による自己伸展力によって展開します.打上げ時は収納機構の両端のダイニーマによって保持することで展開の制御を行っています.地上局からの展開コマンドを受け取ることでダイニーマに接してるニクロム線を加熱することにより溶断して蓋をバネヒンジによって解放します.
二次展開は2本のインフレータブルチューブにガスを供給することによって膜面の展開を行います.ガスの供給は,形状記憶合金(Shape Memory Alloy,SMA)を加熱して伸ばすことで,その先端に取り付けたニードル(針)をガスタンクのフタに突き刺すことで,宇宙空間でガスタンクに穴を空けるという制御方式になっています.

ガスタンク開放


また,インフレータブルチューブにガスが入り過ぎないように2つの電磁バルブによってガスの流入を制御しています.ガスタンクから供給されるガスの制御に1つとインフレータブルチューブ内のガスを宇宙空間にデガスする制御にもう1つを用いています.この2つの電磁バルブによってガスタンクから供給されるガスのインフレータブルチューブ内の流入を制御し,さらにはガスの保持・解放を行っています.

制御システム


SPROUTでは日陰で膜面の展開を行いますが,ガスを保持した状態で日照に軌道が変わればサーマルショックの影響を確認することが出来ます.昨日伝えました圧力センサやピエゾセンサ,さらには温度センサのデータから複合膜面構造物の軌道データが各種センサから定量的に評価することに繋がり,今後の複合膜面構造物の設計の指針となるデータの取得を行えます.

本日で膜面展開ミッションは一時終わりとなりますが,システムについて後日お伝えしますのでそちらと合わせて読んでいただけたらSPROUTマスターに近づけると思います.
明日から姿勢決定・制御ミッションについて修士1年大日向が紹介します!
SPROUT INF班 Mita


Category: SPROUT Master
Time: 20:59
Author: sprout
【SPROUT打ち上げまで33日です!】

皆さま,こんにちは.
修士1年になりました,大日向です.

SPROUTマスターになろう!本日から二日間は姿勢決定・制御ミッションについてお送りします.今日はまず,姿勢決定・制御ミッションの概要と姿勢決定についてお伝えします.

姿勢決定・制御の概要
SPROUTの姿勢決定・制御ミッションとしては以下のように定めています.

数kg級衛星用姿勢決定・制御技術の実証
太陽センサ.地磁気センサ・ジャイロセンサを用いた姿勢決定実験,磁気トルカを用いた姿勢制御実験を行い,数kg級衛星で可能な姿勢決定・制御レベルを示すことを目指しています.

それでは,姿勢決定・制御の簡単な流れについて説明します.姿勢決定・制御系は大きく分けて,姿勢センサとMPU(実際に計算処理を行うマイコン)とアクチュエータに分かれています.
姿勢決定・制御システム


まず,太陽センサ・地磁気センサ・ジャイロセンサを駆使して姿勢決定(今の自分の姿勢がどの方向を向いているかを知る)を行います.その後,目標姿勢に向かって,磁気トルカを用いて姿勢制御を行います.また,太陽センサ・磁気トルカに関しては,日大で自作を行いました.
自作磁気トルカ自作太陽センサ

それでは,姿勢決定・制御の最初の段階である姿勢決定について説明したいと思います.

姿勢決定
センサには様々なものが存在していますが,SPROUTではコストやサイズなど,様々なトレードオフを経て,
・太陽センサ・・・太陽方向を検知する
・地磁気センサ・・・地球磁場の方向を検知する
・ジャイロセンサ・・・衛星自身の回転の角速度を測定する

の3種類を用いることになりました.これらのセンサを駆使して姿勢決定を行っています.
姿勢決定を行う際には,下図の青線の基準座標(軌道座標系と呼んでいます)に対して,下図の赤線の衛星座標(機体座標系と呼んでいます)がどれぐらいずれているか,というのを計算することによって,現在の自分の姿勢を知ることができます.下図のθを計算することが出来れば,衛星の姿勢が分かります.
基準座標と軌道座標


姿勢決定を行う手法は,様々な方法が既に提案されており,SPROUTに搭載する代表なものとして,TRIAD法q-Method拡張カルマンフィルタなどがあります.これらのワードで検索していただければ,様々な論文がヒットすると思います.SPROUTのオンボードでは実際にこれらを数値計算することによって姿勢を求めています.

以上で,姿勢決定・制御の概要と姿勢決定(今の自分の姿勢を知ること)の説明は終わりです.実は,姿勢決定をするだけでも,センサのノイズの影響の考慮や,計算速度の考慮(あまりに遅いと姿勢制御どころではなくなります)など,考えることは沢山あり,数値計算に様々な工夫が施されています.

本日は姿勢決定・制御ミッションのうち,姿勢決定についてお送りしましたが,
明日はいよいよ姿勢制御について紹介していこうと思います!

2014年04月22日(Tue): 3-2.姿勢制御について

Category: SPROUT Master
Time: 21:12
Author: sprout
【SPROUT打ち上げまで32日です!】

皆さま,こんにちは.
修士1年の大日向です.

SPROUTマスターになろう!昨日に引き続き,姿勢決定・制御ミッションについてお送りします.本日は姿勢決定・制御ミッションのうち,姿勢制御についてお伝えします.

姿勢制御
姿勢制御用のアクチュエータとしては,リアクションホイールやスラスタなど,様々なものが存在していますが,SPROUTの姿勢制御は磁気トルカを用いた3軸姿勢制御を行います.
磁気トルカとは,電磁石のことで,コイルを巻いて作られています.コイルですから,電気を流すと電磁石となります(右ねじの法則のことです).
右ねじの法則

磁気トルカ


磁石のN極とS極を近づけると磁石に力が加わり,くっつきます.これと同じ原理で,磁気トルカ(電磁石)と地球の磁場の干渉によって,磁気トルカに力が加わり,衛星の姿勢制御を行うことができるのです.

姿勢制御の種類としては主に2種類があります.
デスピン制御・・・衛星の回転を抑制する制御
指向制御・・・任意の姿勢に指向させる制御

昨日お伝えしたように,姿勢制御をするときも,どれぐらいの力を加えればいいのか,数値計算を行う必要があります.姿勢制御の手法に関しても,様々な方法が既に提案されており,SPROUTに搭載する代表なものとして,デスピン制御にB-dot制御則,指向制御にクロスプロダクト制御則というものを用いています.一例として,デスピン制御のシミュレーションの結果を紹介します.

デスピン制御


上のグラフは,衛星の回転を抑制するデスピン制御のシミュレーション結果です.縦軸が衛星の角速度で,横軸が時間です.グラフをみると,衛星の角速度が徐々に抑制されていることが分かります.これはシミュレーション結果ですので,実際はどのような運動をしてくれるのか,楽しみです.

指向制御では,任意の姿勢に指向させることができる制御であるので,つまり地球を向かせることも可能です.SPROUTでは,カメラが搭載されていますので,カメラを地球に向けて,地球を撮影する,といったこともミッションに取り入れています.
ぜひ,皆さまには姿勢制御をきちんと行って,きれいな地球の写真をお送りすることができればと思っています!

本日で姿勢決定・制御ミッションに関しては一時終わりとなりますが,姿勢決定・制御システムの設計などに関しては,後日またお伝えする予定です.
明日からはいよいよ衛星の設計やシステムに関して紹介していきたいと思います!衛星のシステムは沢山ありますので,それぞれ細かく知ることによって,よりSPROUTマスターに近づけると思います!
それでは次は,運用予測について,修士2年の角川さん,よろしくおねがいします.

Category: SPROUT Master
Time: 23:19
Author: sprout
【SPROUT打ち上げまで31日です!】
皆様、こんばんは
修士2年の角川です。

先日まで、SPROUTのミッションに関して紹介を行なってきました。本日からはそれらのミッションを実現するために、どのように衛星のシステム設計を行なって来たのかを紹介していきたいと思います。

設計とは、要求から具体的に、どんな機能が必要で、どうゆう条件下で、どうやって実現するのかを考慮し、部品を選定したり、値を決定して仕様を特定していくことです。
色々考えて試してみた末、要求が実現できなければ何度も繰り返して行なっていく根気のいる作業ですが、達成すればそれだけ達成感があるものだと思います。
要求は、ミッションを実現するためには何をしなければならないのか、どのような条件の下でシステムが動作しなければならないのか実際の衛星の運用を予測した上で、定義していきます。衛星設計では特に、実際に衛星がさらされる環境(ロケットの打ち上げ時振動、衝撃etc…)や、宇宙環境(無重力、真空、熱、放射線etc…)などを想定して要求を決めていきます。また、外部から要求をもらうこともあります。

運用想定

要求の種類としてSPROUTでは主に3つあります。
ミッション要求:SPROUTのミッションを達成するために必要なことを定義したもの
システム要求:衛星を運用する上で必要となることを定義したもの
安全審査要求:衛星がロケットに対して安全であるために必要となることを定義したもの

これらの要求に対して以下の用に分類分けをし設計を行なっていきました。それぞれの設計の詳細につきましては随時更新を行なっていきたいと思います。

▾ミッション系
• カメラ系設計
• 膜面展開系設計
• 姿勢決定・制御系

▾バス系
• 通信系設計
• 電源系設計
• 構造系設計
• 熱系設計
• OBC系設計
• インヒビット設計

宮崎研究室では2008年に打ち上げ、現在運用中のSEEDS-Ⅱの設計を流用することによって、より信頼性の高い設計を行なっています。

それぞれのパートで設計が終わるとそれぞれのパートで設計したシステム同士を統合して、環境試験を行ってシステム全体として問題がないことを確認していき。。。ということになりますが、この話はまた後日、紹介させて頂きたいと思います。

【運用予測】
現在SPROUT開発チームでは運用計画を練っています。ざっくりとした予測ですが、SEEDSは1200bpsなので1日4パスとすると、1日あたり300パケットダウンリンクできます。
SPROUTにおいて、9600bpsダウンリンクを行なえるためもう少し、多めにダウンリンクできることを見込むと2014年6〜7月に初期運用、8〜9月にミッション系確認、10月〜2015年1月に姿勢制御系ミッション、2〜3月に複合膜面展開ミッションとする計画です。
また、複合膜面展開後は面積展開率85パーセントを想定するとおよそ2、3年で軌道降下するであろうと予測をたてています。

それでは次は、システム全体について、修士2年の藤原くん、よろしくおねがいします。

2014年04月25日(Fri): 4-2. 全体システム

Category: SPROUT Master
Time: 04:16
Author: sprout
【SPROUT打ち上げまで30日です!】
皆様、こんばんは
修士2年の藤原です。

昨日は,システム設計についての紹介を行っていました.本日は,そのようなシステムを設計した結果SPROUTの全体システムどのようなシステムになったかを紹介したいと思います.

SPROUTの形状は一辺20[cm]の立方体で,質量は7.1[kg]です. 内部構造はミッションが機能するための支援をおこなう衛星バス系(構造・熱系,電源系,通信系,データ処理系),衛星のミッションを直接果たす工学ミッション系(姿勢制御・決定系・カメラ計測系,複合膜面構造系,アマチュア無線系)から成ります.構体の材料にはアルミニウム合金を用い4枚の壁面で立方体を形成し,中央には電池ボックスを配置,各搭載機器は構体に固定し,太陽電池パネルは衛星を覆うように衛星側面に搭載します.また衛星内部構造は,下図のようなシステム構成で構成されています.

システムダイアグラム


FMR1,FMR2は異なる周波数の受信機を搭載しています.FMR1は衛星全体のフライトマネージメトMPUおよびその周辺回路.主に工学ミッション系のアップリンクを受信する受信機を搭載し,アップリンクコマンドを処理するサブシステム.地上局からのアップリンクを受信します.また,FMR2は主にアウトリーチミッションのフライトマネージメントMPUおよびその周辺回路.主にアウトリーチミッション系のアップリンクを受信する受信機を搭載し,アップリンクコマンドを処理するサブシステム.また,FMR1とFMR2はすべてのバス系マイコンと通信ラインが繋がっているため仮にFMR1が故障したとしてもFMR2が同等のミッションを行なうことが出来る冗長設計になっています.また,FMR1,FMR2,EPS,CW,RTCのようなバス系にはSEEDS-IIで宇宙実証済みである信頼性のあるMPUを使用しています.また,CDH1が主に工学ミッション系のコマンドとデータを処理し,CDH2が主にアウトリーチミッション系のコマンドとデータを処理しています.また,FMR1,2同様に仮にCDH1が故障したとしてもCDH2からも同等のミッションが行えるよう設計しています.以上が全体システムです.

明日からは各システムの説明を行っていきます.
明日は,吉野君が通信系設計の紹介します.

2014年04月25日(Fri): 4-3. 通信系設計

Category: SPROUT Master
Time: 22:23
Author: sprout
【SPROUT打ち上げまで29日です!】
皆様、こんばんは。
修士2年の吉野です。

昨日の全体システムから引き継ぎ、今日からはSPROUTのサブシステム(OBC、電源、カメラetc.)について紹介していきます。初回の本日は通信系サブシステム設計についてです。

SPROUTでは、①地上局から送信された工学/アウトリーチミッション系のアップリンクを受信・処理して衛星全体のフライトマネージメントを行うFMRサブシステム(Flight Management Receiver ― )、②衛星の電池電圧や発電量などの衛星の動作状況(ハウスキーピングデータ)をモールス信号として衛星から送信するCWサブシステム(Continuous Wave ― )を通信系サブシステムと呼んでいます。

■FMRサブシステム

FMRは工学ミッション用のFMR1とアウトリーチミッション用のFMR2の2回線があり、これらシステムの大まかな機能は以下のものとなっています。
●地上局からのアップリンクの受信・解析処理・各サブシステムへの命令
●アップリンクコマンドのセキュリティチェック(整合とれたらコマンドを処理)
●工学(FMR1)/アウトリーチ(FMR2)用の2回線且つ互いの代替を務められる冗長設計
●バス系サブシステムのリセット
●アンテナ展開(FMR1とCWからの2信号による展開-2インヒビット-)
FMRはアップリンクを受信・処理するシステムなので、SPROUTではFMRを最上位の命令送信MPUとしています。そのためバス系のリセット等の重要な処理を行うので確実な動作を行う必要があり、SEEDS-IIとほぼ同様の回路構成・システムにしています。

■アップリンクフォーマット

地上局から衛星には上図のようなアップリンクフォーマットに沿って、先頭からコールサイン、セキュリティバイト、強制実行・バス選択バイト、実行時間、コマンド、備考データの順に送信し、日大局と他局のアップリンクの判定にはセキュリティバイトという暗号キーを入れて対処しています。詳しくは今後公開しますコマンドフォーマットをご覧ください。

■CWサブシステム

CWは各サブシステムから衛星の状態に関するデータを収集し、モールス信号による地上へのハウスキーピングデータ送信を行います。発するモールス信号には衛星や運用状況に応じて以下のようなモードがあります。
【初期モード】アンテナ展開後、アップリンクが通るまでのモード。
【通常モード】常用するCWモード、基本的なHKデータを送信する。
【膜面展開前後モード】通常モードに加え、ミッション系の情報も送信する。

上記のフォーマットは、本日ホームページで公開しましたのでそちら(pdfファイル)をご覧ください(随時詳しく更新していきます)。

以上、今回は通信系サブシステムについての紹介でした。明日も引き続き吉野が、SPROUTの電源系サブシステムについてご紹介します。


2014年04月26日(Sat): 4-4. 電源系設計

Category: SPROUT Master
Time: 23:49
Author: sprout
【SPROUT打ち上げまで28日です!】
皆様、こんばんは。
昨日に引き続き修士2年の吉野です。本日は電源系設計について紹介します。

■電源系サブシステム(EPS - Electric Power Supply -)
電源系サブシステムは、太陽電池から発電した電力を二次電池に充電し、電池から供給された電力を昇/降圧・安定化させ各サブシステムに供給する、衛星の中でも重要なシステムです。衛星のミッションを考慮して電池や太陽電池の選定、電力充電・供給回路設計等を行います。大まかにEPSの役割は電池の充電とサブシステムへの電源供給ですが、SPROUTでのEPS設計にはミッションの他、ロケットの搭載等の要求から以下の項目を考慮して設計しました。

■機能・特徴
①サブシステムへの安定した電源供給
②バッテリ状態・過充電・過放電を考慮した充電制御
③打ち上げ時に起動しないよう3インヒビット設計
④運用終了時にスイッチにより充電経路を遮断



●サブシステムへの安定した電源供給
バッテリからの電源供給は昇圧/降圧回路を通して、安定した電源供給を行います。
●バッテリ状態・過充電・過放電を考慮した充電制御
運用を行う際、太陽電池からバッテリへの過剰な充電あるいは電力消費の多いミッションなどでバッテリへの負荷が多いと、バッテリが損傷しその後の運用に問題になる場合があります。そのためバッテリの電圧を監視し充電の制御、衛星の省電力モード、シャント回路による余剰電力消費を行って、バッテリ保護を考慮した充放電を行っています。
●打ち上げ時に起動しないよう3インヒビット設計
衛星が軌道に投入される前に、打ち上げ時の振動などによる機器の故障で衛星に電源が供給されてしまうと、衛星の電波などでロケットや他の衛星に影響を与えて問題になることが考えられます。そのため電源が入るまでに直列に分離検地スイッチを3つ備え、誤動作を防止します(これを3インヒビットといいますが、この設計についてはまた今度)
●運用終了時にスイッチにより充電経路を遮断
衛星の運用終了後、衛星から発する電波が他の衛星に影響を与えないよう考慮して、電池に充電できないようアップリンクにより充電経路をスイッチの切り替えで遮断します。

他にも、バッテリが温度に非常に影響を受けて性能が落ちてしまうなど、ミッションや構体などさまざまなシステムと関わる部分で電力システムは考慮しなければなりませんでした(このバッテリの配置については、明日の構造系設計について、修士1年大日向君から、宜しくお願いします!)

ということで今回は電源系サブシステムについての紹介でした。


2014年04月27日(Sun): 4-5.構造系設計

Category: SPROUT Master
Time: 22:40
Author: sprout
【SPROUT打ち上げまで27日です!】

皆さま,こんにちは.
修士1年の大日向です.本日は構造系の設計について紹介します.

【構造系設計】
SPROUTは小型副衛星として主衛星と共にロケットに搭載されるので,構造系は主衛星に影響を与えないよう,打ち上げる際に考慮されるべき「打ち上げ時の環境情報」と「インターフェース条件」を満たすことが要求されます.ロケットからのインターフェース条件や剛性・加速度荷重・ランダム振動環境条件などの構造的要素に加え,アウトガス・中空構造のエア抜きなど,材料・材質一つ一つに細心の注意を払わなければなりません.

ロケットの振動で壊れてしまっては,壊れた部品が主衛星に当たって傷つけてしまうかもしれませんし,真空下でアウトガスが出てしまっては,アウトガスによって主衛星の光学機器を汚してしまうかもしれません.それだけではなく,衛星のシステムが破壊されることなく機能する必要があります.

また,SPROUTには色々な機器を搭載することになるので,それらをうまく配置する必要があります.SPROUTの機器配置は,このようになりました.
機器配置図


SPROUTは約20cm立方でありながら,このように様々な機器が搭載されています.機器配置を考えてもすぐに作り出すわけにはいかず,まずは構造解析を行い,衛星がロケットの振動で壊れないことを確認します.
構造解析


構造解析では,ロケットで予想される荷重を衛星に加えてあげます.それによって,ロケットの振動でも壊れないことを構造解析で確認してから,実際にこの形で衛星を作り出すことになります.

構造解析で大丈夫なことが分かったからといって,いきなりフライトモデルを作るわけではありません.まず一度,エンジニアリングモデルという試験用のモデルを作って,振動試験で少し強めに振ってあげることで,実際に大丈夫かどうかを確認します.
振動試験の様子


それ以外にも,衝撃試験なども行い,それぞれの試験をパスしたうえで,本当のフライトモデルが完成となります.

こうして完成したSPROUTのフライトモデルはこのようになりました.
SPROUT_FMSPROUT_FM


振動・衝撃試験で耐えてくれたSPROUTは,きっとロケットの振動にも耐えてくれると自信を持っています!
以上,今回は構造系の設計についての紹介でした.明日は,熱系の設計に関して,修士2年の藤原さん宜しくお願いします!

2014年04月28日(Mon): 4-6 熱系設計

Category: SPROUT Master
Time: 20:53
Author: sprout
【SPROUT打ち上げまで26日です!】
皆様、こんばんは。
修士2年の藤原です。本日は熱系設計について紹介します。

【熱系設計】
SPROUTは,宇宙空間ですべての機器が動作する温度内に収まるように設計する必要があります.宇宙環境は-270℃でありとても寒い環境であるとともに,人工衛星に太陽光が当たる時と当たらない時では大きな温度差があり,各機器の動作温度範囲を超えてしまう危険性があります.また,SPROUTの場合は,大きさが小さいことや発電電力が小さいことから大型衛星のような熱制御が出来ないためヒータを使わない受動的な熱制御をしています.
熱制御方式としては,低温で性能の悪くなることが予想されるバッテリを中央部に配置し,そのバッテリを挟むように高電力を使用する送信機と受信機で構成しています.また,構体表面には,熱的特性が良いアルマイト加工を行っています.
また,このような構成に設計後すべての機器が正常な温度に収めっているか確認する必要があるため,熱解析を行います.下の図が熱解析を行った結果です.

解析結果

外面パネルは,-30℃から30℃の間と温度がかなり振れているように見えますが,中の機器については,0℃から10℃程度となっておりすべての機器が動作温度範囲内に収まっていることを確認しました.この結果を用いて,このような解析結果で得られた温度でも正常に動作するか確認するため,恒温槽試験を行います.また,恒温槽試験において正常に動作するかを確認出来次第,熱真空槽試験にて温度と真空化の両方の環境でも正常に動作するかを確認します.SPROUTでは,恒温槽試験にてすべての機器の動作確認を行い,正常に動作することを確認しました.また熱真空試験においては,すべての機器の動作確認とともに何処かの機器にヒートスポットが出来ていないかの確認するため,いくつかの温度センサを貼り付け温度確認をしながら動作確認を行いました.
恒温槽試験熱真空槽試験

今後,熱構造系としては,ロケットの打ち上げ時期が決まったこともあり,SPROTのTLEを用いての温度予測や打ち上げ後には実際の軌道上の温度と解析の結果がどのように違うかまたフィードバックを行い,解析の精度上げバッテリの温度などを予測し運用計画に混ぜ込みたいと考えています.

以上,今回は熱系設計についての紹介でした.明日は,カメラ系設計に関して,修士2年の三田君宜しくお願いします!

2014年04月29日(Tue): 4-7. カメラ系設計

Category: SPROUT Master
Time: 18:06
Author: sprout
【SPROUT打ち上げまで25日です!】
皆様,こんにちは.
お久しぶりに登場の修士2年の三田です.
SPROUTの打ち上げが1ヶ月を切っていることに時の流れの早さを感じております.
SPROUTマスターになろう!
本日はカメラ系システムの設計について紹介します!

SPROUTにはカメラが3つ搭載されています.以前お伝えしました通り工学ミッション(複合膜面展開)に2つ(通称CAM1・CAM2),アウトリーチミッションに1つ(通称CAM3)用います.工学ミッション時にはCAM1システムとCAM2システムが同期を取って撮影します.複合膜面の展開挙動を複合膜面構造物に添付された再帰性反射テープを特徴点とし,展開時および展開後の画像における特徴点の3次元位置をステレオ視によって復元することを目的としています.そのため,複合膜面構造物の大きさ,角度,膜とカメラの相対的な取り付け位置から,水平,垂直の画角が65°以上,82°以上のカメラによって撮影を行います.

三次元位置復元


CAM1,2システムはCDH1またはCDH2からのコマンドにより実行されます.複合膜面構造物の展開コマンドの際にはCDHからのコマンドにより待機となり,INFからのフラグにより撮影を行うシステムとなっています.CAM3システムはCDH2からのコマンドにより実行されます.ADCシャッターの際にはCDH2からのコマンドにより待機となり,ADCからのフラグにより撮影を行います.撮影枚数はCAM1,CAM2システムが最大14枚,CAM3システムが最大6枚まで撮影可能です.また,連続撮影の際にシャッターを切る間隔をアップリンクにより変更することが可能です.

CAMフローチャート


撮影された画像はROMに保存されるのですが,画像データの処理に用いられるMPUとカメラの動作速度が異なるため,データラインを直接繋いでしまうとデータ保存が出来ません.そこで,FIFOと呼ばれる素子に一時的にデータを保存し,その後ROMに保存するシステム構成となっています.FIFOはFirst In First Outの略で最初に入ってきたものを最初に処理する『ところてん式』とイメージして頂ければわかりやすいと思います.また,軌道上で複合膜面構造物の展開を行う場合,太陽や地球の逆光によって展開の撮影が困難になるため衛星が日陰時に撮影を行います.そのため,日陰時に膜面を照らし,安定した光源のもと撮影を行うためにCAM1,CAM2システムが取り付けられる構体面にパワーLEDを取り付けます.
CAM1,2システムとCAM3システムはROMの数やパワーLED,シャッターフラグを送るシステム(INFかADC)の違いはありますが,ほぼ同じシステムと言えます.

システムダイアグラム


簡単にですが,SPROUTのCAM系システムの紹介は以上です.
明日は膜展開設計をM1丸木がお送りします!
SPROUT CAM班 Mita

2014年04月30日(Wed): 4-8.膜展開系設計

Category: SPROUT Master
Time: 23:09
Author: sprout
【SPROUT打ち上げまで24日です!】

皆様,こんにちは.
修士1年の丸木です.
SPROUTマスターになろう!
本日は膜展開系の設計についてご紹介します.

膜展開システムは,膜展開を制御する電子回路から,ガスカートリッジや配管,膜面,チューブなど様々なハードから構成されます.もちろん,膜展開時に重要となるセンサ類もあります.となると,それに応じて回路も決まってきます.例えばセンサからの信号処理回路やSMA伸展に要する大きな電圧を生むための昇圧回路などです.

INFシステムブロック図1

INFシステムブロック図2


【膜面展開シーケンス】
膜面展開のシーケンスは下図のようになります.
衛星の状態が万全であることを確認したら,普段はオフになっているミッション系の電源を入れ,衛星のバッテリが消耗しても省電力モードに入らないようコマンドを送ります.メインミッションのために勝負に出る訳です.そして,CWがミッション専用のモードに入ります.
以上のコマンドが衛星に処理されると,いよいよ膜面展開が始まります.まずはCDH,ADC,INF(膜展開系)のセンシングが始まります.INFでは,圧力センサと振動を計測するピエゾセンサのセンシングをします.
次に,膜とチューブが入っている収納機構のフタを解放します.先日お伝えした一次展開です.その際,フタにはマイクロスイッチが取り付けられていて,マイコンがこれを検知します.その検知とともにSMAバルブの加熱が始まります.SMAバルブがガスカートリッジの封を開けると,ガスが配管内に流入し,圧力センサでこれを検知します.するとマイコンは電磁バルブを制御してチューブを伸展させるのです.


膜展開シーケンス


【センサ】
センサには圧力センサ,ピエゾセンサがあります.圧力センサはその名の通り圧力を測定するためのセンサで,一つはガスカートリッジからレギュレータまでの間の非常に高い圧力を測り,もう一つはチューブに入る直前の圧力を測ります.
 一方,ピエゾセンサはチューブに張り付けてありますが,これは固有振動数の測定に用います.

圧力センサピエゾセンサ



【収納機構】
 膜とチューブが折り畳まれて収納されているボックスです.膜とチューブはなかなかぎゅうぎゅうに押し込められており,入れる際は5人がかりで収納しました.
 フタは強度の強い糸で留められていて,電熱線の加熱で焼き切って開きます.すると,フタの両側に取り付けられたマイクロスイッチがオフになり,マイコンがそれを検知します.

収納機構

収納


【ガスオープン】
ガスが入っているタンクをガスカートリッジと呼んでいますが,このガスカートリッジはミッションの直前まで完全に封をしてあります.封を開き,ガスを配管内部に注入する役割を担うのがSMAバルブです.SMAというのはShape Memory Alloynoの略で形状記憶合金のことです.熱を加えることでSMAの伸展によりニードルが押し当てられ,ガスカートリッジの封を開けます.ガスカートリッジを開ける役目なのでSMAバルブと呼んでいます.ここで,SMAを加熱する際に電熱線に印加しますが,ここで多くの電力が必要となります.

ガスカートリッジ

SMAニードル伸展

SMA2


【配管・電磁バルブ】
ガスカートリッジの封が開けられるとガスが配管内に流れ込みます.しかし,このときとても大きな圧力で流れ込んでくるので,そのままだとチューブの展開を制御するための電磁バルブやチューブが耐えられません.そのためレギュレータを用いて減圧します.どのくらい減圧されるのかというと,およそ12MPaから320~330kPa程度まで落としてくれます.
ガスレギュレータを通ったガスが次に対面するのが電磁バルブです.電磁バルブは二種類あり,一つは配管とチューブ間を,もう一つはチューブと宇宙空間を繋げています.電磁バルブはマイコンによって制御し,チューブに流入するガスの圧力をみながら弁の調節をすると共に,展開後しばらくしてからチューブ内のガスを宇宙へ解放します.

ガスレギュレータ電磁バルブ

電磁バルブの仕組み


【膜面・チューブ】
 膜面は一辺が1540mmの正三角形で(収納機構内部に40mm隠れてしまいますが),各所に昨日お伝えしたカメラシステムで捉えるための特徴点が設けられています.素材は合成樹脂のポリイミドで,12.5µm程の薄さですが,ぎゅうぎゅう詰めにされたり,チューブに引っ張られても大丈夫です.ポリイミドは放射線や紫外線には強いのですが,低い軌道上に存在する,原子状酸素には弱く,表面をアルミ蒸着でコーティングしてこれを防ぎます.
チューブは膜面の外側についているため,膜面の一辺よりやや長く,こちらも同様に特徴点が設けられています.特徴点は再帰性反射テープを用いていて,パワーLEDを点灯することで宇宙空間でも撮影することができます.チューブはアルミラミネートフィルムという素材を用いており,ガスが注入された際に一定の圧力が加えられると塑性硬化を起こし,特に大きな力が作用しない限り,その後は形状を保ちます.

膜面再帰性反射テープ



以上が一通りの膜展開系の紹介になります.
本日は長いブログにお付き合いくださいましてありがとうございます.
メインミッションを担う膜展開系についてわかって頂けたでしょうか.
SPROUTのホームページの一部でも紹介しておりますので,ぜひご覧ください.

明日は姿勢決定・制御系の設計に関しましてM1の大日向がご紹介します.