【SPROUT打ち上げまで24日です!】

皆様,こんにちは.
修士1年の丸木です.
SPROUTマスターになろう!
本日は膜展開系の設計についてご紹介します.

膜展開システムは,膜展開を制御する電子回路から,ガスカートリッジや配管,膜面,チューブなど様々なハードから構成されます.もちろん,膜展開時に重要となるセンサ類もあります.となると,それに応じて回路も決まってきます.例えばセンサからの信号処理回路やSMA伸展に要する大きな電圧を生むための昇圧回路などです.

INFシステムブロック図1

INFシステムブロック図2


【膜面展開シーケンス】
膜面展開のシーケンスは下図のようになります.
衛星の状態が万全であることを確認したら,普段はオフになっているミッション系の電源を入れ,衛星のバッテリが消耗しても省電力モードに入らないようコマンドを送ります.メインミッションのために勝負に出る訳です.そして,CWがミッション専用のモードに入ります.
以上のコマンドが衛星に処理されると,いよいよ膜面展開が始まります.まずはCDH,ADC,INF(膜展開系)のセンシングが始まります.INFでは,圧力センサと振動を計測するピエゾセンサのセンシングをします.
次に,膜とチューブが入っている収納機構のフタを解放します.先日お伝えした一次展開です.その際,フタにはマイクロスイッチが取り付けられていて,マイコンがこれを検知します.その検知とともにSMAバルブの加熱が始まります.SMAバルブがガスカートリッジの封を開けると,ガスが配管内に流入し,圧力センサでこれを検知します.するとマイコンは電磁バルブを制御してチューブを伸展させるのです.


膜展開シーケンス


【センサ】
センサには圧力センサ,ピエゾセンサがあります.圧力センサはその名の通り圧力を測定するためのセンサで,一つはガスカートリッジからレギュレータまでの間の非常に高い圧力を測り,もう一つはチューブに入る直前の圧力を測ります.
 一方,ピエゾセンサはチューブに張り付けてありますが,これは固有振動数の測定に用います.

圧力センサピエゾセンサ



【収納機構】
 膜とチューブが折り畳まれて収納されているボックスです.膜とチューブはなかなかぎゅうぎゅうに押し込められており,入れる際は5人がかりで収納しました.
 フタは強度の強い糸で留められていて,電熱線の加熱で焼き切って開きます.すると,フタの両側に取り付けられたマイクロスイッチがオフになり,マイコンがそれを検知します.

収納機構

収納


【ガスオープン】
ガスが入っているタンクをガスカートリッジと呼んでいますが,このガスカートリッジはミッションの直前まで完全に封をしてあります.封を開き,ガスを配管内部に注入する役割を担うのがSMAバルブです.SMAというのはShape Memory Alloynoの略で形状記憶合金のことです.熱を加えることでSMAの伸展によりニードルが押し当てられ,ガスカートリッジの封を開けます.ガスカートリッジを開ける役目なのでSMAバルブと呼んでいます.ここで,SMAを加熱する際に電熱線に印加しますが,ここで多くの電力が必要となります.

ガスカートリッジ

SMAニードル伸展

SMA2


【配管・電磁バルブ】
ガスカートリッジの封が開けられるとガスが配管内に流れ込みます.しかし,このときとても大きな圧力で流れ込んでくるので,そのままだとチューブの展開を制御するための電磁バルブやチューブが耐えられません.そのためレギュレータを用いて減圧します.どのくらい減圧されるのかというと,およそ12MPaから320~330kPa程度まで落としてくれます.
ガスレギュレータを通ったガスが次に対面するのが電磁バルブです.電磁バルブは二種類あり,一つは配管とチューブ間を,もう一つはチューブと宇宙空間を繋げています.電磁バルブはマイコンによって制御し,チューブに流入するガスの圧力をみながら弁の調節をすると共に,展開後しばらくしてからチューブ内のガスを宇宙へ解放します.

ガスレギュレータ電磁バルブ

電磁バルブの仕組み


【膜面・チューブ】
 膜面は一辺が1540mmの正三角形で(収納機構内部に40mm隠れてしまいますが),各所に昨日お伝えしたカメラシステムで捉えるための特徴点が設けられています.素材は合成樹脂のポリイミドで,12.5µm程の薄さですが,ぎゅうぎゅう詰めにされたり,チューブに引っ張られても大丈夫です.ポリイミドは放射線や紫外線には強いのですが,低い軌道上に存在する,原子状酸素には弱く,表面をアルミ蒸着でコーティングしてこれを防ぎます.
チューブは膜面の外側についているため,膜面の一辺よりやや長く,こちらも同様に特徴点が設けられています.特徴点は再帰性反射テープを用いていて,パワーLEDを点灯することで宇宙空間でも撮影することができます.チューブはアルミラミネートフィルムという素材を用いており,ガスが注入された際に一定の圧力が加えられると塑性硬化を起こし,特に大きな力が作用しない限り,その後は形状を保ちます.

膜面再帰性反射テープ



以上が一通りの膜展開系の紹介になります.
本日は長いブログにお付き合いくださいましてありがとうございます.
メインミッションを担う膜展開系についてわかって頂けたでしょうか.
SPROUTのホームページの一部でも紹介しておりますので,ぜひご覧ください.

明日は姿勢決定・制御系の設計に関しましてM1の大日向がご紹介します.